教育現場のICT化のニュースを目にする機会が本当に増えたと感じます。
2010年総務省でスタートした「フューチャースクール推進事業」では学校でのICTインフラ面の研究が、また、2011年文部科学省でスタートした「学びのイノベーション事業」では学習指導の面において研究が行われています。
これら事業の実証校として選ばれた小中学校では、実際の授業の中での実証研究を進めるなかで、多くの課題の表出に成功しているようです。
そして政府は、これらの研究成果を受けてか、2014年後半より実践的なICT教育の基盤作りに着手するようです。
ネットに教材、クラウドでどこでも学習試行へ
総務省と文部科学省は、インターネット上に電子教材を置き、学校と家庭の双方でタブレットなどの端末を使って勉強ができる新たな教育システムを2014年度後半から試行する。当初は一部の小中高と、特別支援学校の十数校が対象だが、16年度には全国への普及と海外展開を始める計画だ。
ネット経由でデータを管理・利用する「クラウド」の仕組みを利用する。サーバーに英数国理社の5科目の電子教材を置き、学校の授業で使うほか、児童・生徒は自宅でも教材を引き出して予習や復習をすることができる。電子教材は、文字のほか映像や音声を組み合わせることでより効果的な学習が期待できる。
学習記録を分析することで、児童・生徒がつまずきやすいポイントを教師が把握でき、教材や指導方法の改善に役立てることも可能となる。転校する場合にも、学習記録を新しい学校に簡単に引き継ぐことができる。
タブレットや電子黒板を使った教育は、これまでも国や地方自治体が実施している。だが、個々の学校単位で行われているため、サーバーの設置や維持管理、教材作成などに年平均で1000万円近く費用がかかる問題点があった。クラウドの仕組みを利用すれば、サーバーと教材を共有できるため、費用を低めに抑えることができる。
引用:読売新聞
教室の机の上に、一人一台タブレットが。
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2020年の東京オリピックイヤーには、戦後9度目の改訂が実施されるのではないかといわれている、「新しい学習指導要綱」では、これまでの「ICT教育」の実践研究成果が盛り込まれるのは間違いなさそうだ。
この改訂による授業内容の変更は突然実施されるわけではなく、2~3年の移行措置を設けて、段階的に移行してゆくだろうと考えられている。
つまり2017年頃から移行が始まるということだ。
この先3年のうちに、加速度的に学校内のICTインフラ整備が進むのではないでしょうか。
2002年の学習指導要綱では「ゆとり教育」などと呼ばれました。
そして、2011年は「脱・ゆとり教育」と。
次の改訂では、「ICT教育」とでも呼ばれるのでしょうか。
ICT教育と聞いて、どのようなシーンを想像されますか?
学校の現場にICTが整備された時、生徒の学びにどのような変化が起きるのでしょうか?
総務省による「フューチャースクール推進事業」の実証校で実際に行われている授業の様子が動画サイト「Youtube」にアップロードされていますので見てみましょう。
動画にもあるように、タブレットPCは単なる電子教科書を見るためだけの端末ではなく、インタラクティブ・ホワイトボードと連動させることにより、これまで行うことができなかった、授業スタイルを実現させることが出来ることがわかります。
教員の86.4%がタブレット端末の教育現場導入に前向き
ITRが現役教員に行った調査によると、タブレット端末を教育現場に導入することの是非については、「賛成」、「どちらかと言えば賛成」を合わせた回答の割合は全体の85%を上回り、極めて前向きであることが示されています。
また、タブレット端末を活用した教育で、生徒たちにどのようなメリットが期待できるかという質問に対して、「リッチコンテンツによって理解が深まる」が最も多く、次いで「学びへの意欲が高まる」「インターネットの情報を活用して、探究型の学習ができる」「個々の習熟度に応じた教育が受けやすくなる」の順で続いた(図2)
教育現場において想定されるタブレット端末の用途については、「インターネットを利用した調べ物」、「動画コンテンツの再生」、「文書、レポートなどの作成」といったように、単なる「電子教科書用端末」を超えた用途が想定されているとの結果が示された(図3)。
ICTがもたらす近い未来の学校教育
タブレットPCを始めとする「ICT」は何も学校教育のすべてを変えてしまう魔法の箱ではありません。
しかし、現状の授業の課題を解決するためのツールとしてのポテンシャルは、十分に持ち合わせているのも事実でしょう。
例えば、生徒のノートや作品等の成果物の記録が残るのは一部のものに限られますが、タブレットPCとクラウドを利用することで、学びの活動記録が残ります。
蓄積されたビッグデータを分析することによって、より良い学習ツールの開発に役立てることが出来るではないでしょうか。
このようにデータの蓄積と分析は、デジタルデータが最も得意とするところですから、これまでにない早いサイクルでより効率的で良質な教育コンテンツが開発されていくのではないでしょうか。