<名古屋の中3少年を家裁送致 ユーチューブ漫画投稿疑い>
京都地検は、発売前の人気漫画を動画投稿サイト「YouTube(ユーチューブ)」にアップロードしたとして、著作権法違反(公衆送信権侵害)の疑いで名古屋市中区の中学3年の少年(14)を京都家裁に送致した。同家裁は名古屋家裁への移送を決定した。
京都府警は今月14日に少年を逮捕。漫画のページを写真撮影し、投稿したとしていたが、その後の調べで、海外のサイトから写真をダウンロードしていたことが分かったと説明している。地検によると、少年は計4回にわたり「ONE PIECE(ワンピース)」など4作品を、著作権者の許可を得ずに自宅のパソコンからユーチューブに投稿、不特定多数に閲覧させた疑い。
また、調べによると「ONE PIECE」の他にも、「少年ジャンプ」掲載の「銀魂」、「NARUTO-ナルト-」、「週刊少年サンデー」掲載の「MAJOR」の3作品を、雑誌発売前にYouTubeを通じて権利者に無断でアップロードした。
裁判官は「社会に与える影響は大きいが、少年の年齢や非行の態様、生育歴などをあわせ考慮した」として、保護観察処分とする決定を下した。
引用: 47NEWS、他
公衆送信権の侵害
マンガは著作物であり、その著作権は著作権法により保護されています。
この事件では、公衆送信権侵害とされていますが、何の権利を侵害したことになるのでしょうか?
<公衆送信権>
公衆によって直接受信されることを目的として、無線通信または有線電気通信の送信を行うこと(テレビやインターネット等)が出来る権利の事を言います。
著作権者は、テレビやインターネットを通じ、著作物を放送・配信する権利を専有しています。
ですから、著作権者以外の人が、この権利を害することは法律違反となるのです。
ただし、同一構内での送信については例外とされていますので、学校の構内放送や、学校内のLAN等で、著作物を放送することは著作権の侵害にはあたりません。(ソフトウェア等のプログラムを除く)
関連リンク:守らなくてはいけない法律について
著作隣接権の侵害
<携帯電話向け違法音楽配信で少年2名を書類送検>
香川県警察本部生活環境課及び高松北警察署は、権利者に無断で携帯電話向けレンタル掲示板を利用して音楽ファイルを送信可能な状態にしていた少年2名(16歳と15歳)を、著作隣接権侵害の容疑で検挙し、昨日7月21日、高松地方検察庁に送致しました。上記2名のうち、16歳の少年は「音楽の神様の保管庫」と題した携帯電話向けレンタル掲示板を運営し、キングレコード株式会社(東京都文京区)とエイベックス・エンタテインメント株式会社(東京都港区)が権利を持つ音楽ファイルを無断でアップロードし、不特定多数がダウンロードできる状態にしていたものです。
また、15歳の少年は同掲示板にエイベックス・エンタテインメント株式会社(東京都港区)が権利を持つ音楽ファイルを無断でアップロードし、不特定多数がダウンロードできる状態にしていたものです。
この掲示板は、アップロードされていた音楽ファイル数が3000以上あり、正規商品として発売される前の音源のファイルも多数アップロードされていたため、今年2月の開設以来の訪問者数は100万人を超えていました。
引用:一般社団法人 日本レコード協会
レンタルショップ等で借りたCDは、自分が楽しむ範囲であればコピーできますが、この事例のように第3者に配ることは違法となります。
また違法のダウンロードサイトであるとわかっていながら、ダウンロードすることも著作権の侵害となりますので注意が必要です。
この事例では、著作隣接権の侵害が検挙の利用とされていました。
作詞者や作曲者が楽曲を製作すれば、自動的に著作権が発生し、著作者となります。
一方、その楽曲を多くの人に伝えるために重要な役割を果たしている、歌手やレコード会社には、著作隣接権を持つことになります。
著作者権利と、著作隣接者の権利は似ていますが別なもので、それぞれ著作権法で守られていますので、侵害してしまえば法律違反となります。
著作権法の構成表
著作権を侵害した場合に受ける罰は、かなり重いもののように感じます。状況にもよりますが、刑事罰としては「10年以下の懲役又は1,000万円以下の罰金」が、民事でも「損害賠償請求」等がなされます。
以下は、著作権法の全体図ですが、非常に複雑な構成となっています。
すべてを理解する必要はありませんが、製作物には著作権があり、その著作物に関わる人たちにもそれぞれ権利があり、侵害すれば重い罰が科せられるという事は、覚えておいて損は無いのではないかと思います。