入学試験や資格試験などマークシート方式はすっかり定番となりましたが、試験を受けるにあたって「HB又はBの鉛筆を使用すること」といった注意書きを目にされた事があるのではないでしょうか。
なぜ、HBまたはBの、しかも鉛筆なのだろうと疑問に思ったことはないでしょうか。
たとえば、より濃く書くことができる「2B」ではなぜいけないのか?
芯が折れても心配の少ない、「シャープペンシル」ではダメなのか?
マジックやボールペンを使ってはいけないのはなぜ?
マークをどのように読み取っているのか、また鉛筆の濃さの種類についてなど気になる疑問について調べてみました。
最後には、マークシートで失敗しない方法も書いていますので、これからマークシート方式の試験を受ける方は参考になさってください。
photo credit: nojhan via photopin cc
鉛筆の濃さはマークシート読み取り機械メーカーの指定だった
マークシートは、専用の読み取り機械でマーク箇所を読み取るためのシートということは何となく理解できる。
この専用のマークシート読み取り機がどのように鉛筆で塗りつぶしたマークを読み取っているのかというと、シートに赤外線を当てて、その反射の度合いを読み取っている。
鉛筆の芯に含まれる黒鉛の「炭素」が赤外線を吸収するため、機械がマークの有無の判別が可能なのだそうです。
現在利用されているマークシート読み取り機では、マークを16段階の濃さ(もっとも濃いのが16)によって判定しているものが多く、読み取り機械が最もハッキリ読み取ることができるマークが「指定の濃さの鉛筆」で書かれたマークなのですね。
<出典:SCANTRON>
筆記用具の違いによる判定のしやすさ
では、鉛筆以外の筆記用具でマークすると、いったいどうなるのでしょうか。
それぞの筆記用具でマークしたときの判定具合はおおよそこのような結果が出ると言われています。
シャープペンが鉛筆より薄く判定される理由は成分の違いによるものです。
鉛筆の芯は、黒鉛と粘土を混ぜて焼き固めた物なのに対して、シャープペンの芯には、黒鉛と粘土以外に強度を増す為に樹脂が含まれています。
このため炭素の割合が少なり、赤外線の吸収が少なくなるのだそうです。
マジックやボールペンのインクには「炭素」成分がほとんどないため「マークなし」と判定される可能性が高くなります。
重要なのは、見た目の濃さではなく、炭素の濃さで判定されることから、シャープペンより鉛筆を推薦する理由なのですね。
鉛筆の濃さによる違い
マークシートの筆記用具に鉛筆が最も適していることは理解できましたが、ではなぜ、HB又はBなどの指定があるのでしょうか。
その前に、HBやBなどの記号についておさらいしておきましょう。
鉛筆の濃さと硬さ
えんぴつについているH、B、Fといった記号は、芯(しん)のこさとかたさを表すもの。
HはHARD(ハード:かたい)、BはBLACK(ブラック:黒い)の略字で、Hの数字が多いほどうすくかたい芯を示し、反対にBの数字が多いほどこくやわらかい芯を示します。
FはFIRM(ファーム:しっかりした)という意味で、HとHBの中間のこさとかたさを持った芯のことです。<引用:三菱鉛筆 えんぴつなんでもQ&A>
マークシートには、特に指定がない場合、HB又はBの鉛筆が推奨とされています。
HBより硬いFの場合は?
Fの鉛筆はHBとHの間の濃さと硬度です。
ただ、芯の硬度がHBより高い為、消しゴムで消した時に、マークシートにくぼみが残りやすいとされています。
このくぼみが読み取り機によってまれにエラーとされてしまうことがあるので、HB又はBの鉛筆が推奨とされているのです。
Bよりも濃くかける2Bの鉛筆は?
2Bは、Bよりも濃く、硬度の柔らかい鉛筆です。
しかしこの濃さが、逆にマークの消し残しを引き起こす原因になることがあるそうです。
このような理由からも、濃すぎる鉛筆は避け、特に指定がない場合、HB又はBの鉛筆を使うことが良いとされている理由です。
東京都立高校入学試験の場合
これは東京都立高校入学試験の際に、生徒に配られたリーフレットの一部を抜粋したものですが、やはりHB又はBの鉛筆を推薦しているようですね。
どうしてもシャープペンシルを使用したい場合は、芯の太さが0.5mm以上のものが良いようです。
<出典:東京都教育委員会>
マークシート専用の筆記用具が売れている
マークシートの試験攻略には、短時間でマークをしっかり塗りつぶすことができ、間違った箇所はすばやくきれいに消せることが不可欠であることがわかりました。
筆記用具メーカーも、受験者に最高のパフォーマンスを出してもらおうと、マークシート専用の筆記用具を発売していますので、いくつか紹介したいと思います。
三菱鉛筆
マークシートセット V-52MN
《セット内容》
- マークシート用鉛筆HB 3本(先削り、キャップ付)
- マークシート用消しゴム
- ポケットシャープナー
- 受験準備チェックポイント
トンボ鉛筆
トンボ鉛筆 MONOマークシート用鉛筆セット ペンポーチ入
《セット内容》
- 鉛筆HB 3本(先削り・キャップ付)
- MONO消しゴム(PE‐03A)1コ
- ミニ削り器1コ
- ペンポーチ付
ぺんてる
ぺんてる マークシート【鉛筆 シャープ 】 セット
《セット内容》
- シャープペンシル(芯径1.3、HB芯2本入り)
- マークシート替芯(芯径1.3、HB芯4本入り)
- マークシート消しゴム(4.5mm、超薄型ボディ)
ステッドラー マルスエルゴソフト
マルスエルゴソフト 三角軸鉛筆 HB 12本 150-HB
《特徴》
マークシート専用ではないが、人間工学に基づく三角形状と独自の塗装法により、今までにないグリップ感を実現した鉛筆。
ステッドラー シャープペンシル
ステッドラー シャープペンシル 1.3mm
《特徴》
ステッドラーから、シャープペンシルを1本ご紹介します。
マークシートに適した、1.3mmと太い芯のシャープペンシル
エルゴノミックコンセプトに基づく三角軸の太軸を採用、スベリ止め加工の施されたグリップゾーンが特徴です。
ペン先にクッション性をもたせ芯が折れにくいようになっております
マークシートを速く確実に塗りつぶすためのテクニック
マークシート方式が一般的になったとはいえ、いざ試験が終わった後に、慣れないマークシートに手こずったと話す受験者は少なくありません。
よくあるマークミスのパターン
マークシートなんてただ塗りつぶすだけなのに!と思っていても、試験会場の独特な雰囲気などによる緊張のあまり、普段は簡単に出来る事がうまくいかないことはあります。
変に枠からはみ出してしまったり、薄いかなと思って回答済みのマークを濃くなるように再度塗りつぶしてみたり、想定外に時間を使ってしまう事があります。
塗り方がまずかったせいで、正解だったかもしれない問題が未回答の判定となることもあります。
はみだしてしまったり、しっかり塗りつぶせていなかった事が原因ですが、とても悔しい思いをするミスでもあります。
こんな事あるの?とお思いでしょうが、問5の答えを、問6にマークしてしまうなど意外とあるミスなのです。
速く確実に塗りつぶすためのテクニック
筆記用具の好みは人それぞれだと思いますが、Bの鉛筆が最も効率が良いのではないかと感じています。
その際、芯の先がとがるまで削り過ぎないことが重要です。
そのほうが、芯がマークシートに触れる面積が大きくなり早く塗りつぶせるからです。
Bの鉛筆と、0.3mmのシャープペンで塗りつぶすのにどれだけ時間の差があるか試してみて頂けると良いと思います。
最初にマークの枠をなぞってから、中心に向かって渦巻状に塗りつぶしてください。
右利きの方は、右回りのほうが良いなどはありませんので、塗りやすい方向で良いと思います。
カミナリを書くように斜めに塗りつぶす方がいらっしゃいますが、枠からはみ出しやすい塗り方ですので、止めた方が良いでしょう。
これから試験を受けられる方は、マークシートで失敗しないように参考になれば幸いです。